私は大学院を卒業後、東証一部上場企業で研究開発職として約10年間勤めてきました。
「大企業はオワコン」的な話は度々耳にしますが果たしてどうなんでしょうか。
サラリーマンでいる限り間違いなく大金持ちになることはできませんが、それでも尚、待遇面に関しては比較的恵まれているように感じます。
本日の記事では、一部上場企業の給料や待遇面を中心に紹介したいと思います。
こんな方におすすめ
- 一部上場企業に勤めるサラリーマンの懐事情が知りたい方
- 一部上場企業に勤めるメリットとデメリットが知りたい方
私の勤めている企業と役職について
- 東証一部上場(日経225)
- 製造業
- 非管理職
30歳までの給料推移
私が入社してから30歳までに頂いてきた年収(額面)の推移は以下の通りです。
右肩上がりでお給料は上がっていき、30歳で700万に到達することができました。
ただ、いくつか条件が重なった為達成できましたので、再現性としては低いと思われます。
30歳で700万に到達できた条件
- 27歳〜30歳のときはとても景気が良かったこと
- 会社での評定が良かったこと
- めちゃめちゃ残業してたこと
リーマンショック後の景気回復に伴い、私が30歳の時には弊社は過去最高益を達成し、その結果、ボーナス額は高かったです。
景気が良くなるととても忙しく、36協定の範囲内で貰える残業代としては上限近く頂いていました。
たくさん働いたおかげで成果も平均以上は残せましたので、ボーナス査定と昇給査定も常にプラス査定を頂いていました。
50歳までの給料推移
会社の先輩や上司にお給料を伺い、彼らの年齢と年収をプロットしました。
課長職で大体1000万円、部長職で1200~300万円でした。
ヒアリングを行った先は以下の通りです。
ヒアリング先 | 肩書き | 年齢 |
---|---|---|
同期 | 主任 | 33歳 |
先輩 | 主任 | 35歳 |
上司 | 課長 | 40歳 |
元上司 | 課長 | 45歳 |
上司 | 部長 | 50歳 |
お給料の傾向とヒアリング結果をまとめると以下のようになります。
一部上場企業の給料推移
- 35歳まで(主任職まで)は、順調に右肩上がりで給料が増えていく。
- 35歳~40歳以降は、昇進しなければ少し頭打ち。
- 40歳以降は役職によって給料が大きく異なる為、出世の影響が大きくなる。
- 課長職以上では残業代がつかないので、業績の影響が一番大きくなる。
- 課長職になれなかったら、800~900万で頭打ち。
むかーしは、全然出世できなかった窓際族のおじさんでも年収1000万円以上は貰っていたそうです。
最近は給料制度が変わってきた為、役職としてのお給料がかなり反映されるようになりましたので、もう無理みたいですが。。
それでも日本人の平均年収額を大きく上回る額をいただいています。
給料以外も恵まれている
労働環境は守られている
労働環境について
- 有休取得が推奨
- クビにならない
- 労働時間がきちんと管理されている
- 社内教育制度が充実(研修制度、語学留学など)
最近では、ライフワークバランスの充実を政府が推奨し始めています。
大企業は政府の方針には基本的には従いますので、最近ではブラックな長時間勤務はかなり減っているとのことです。
クビになることはほとんどなく、唯一法律に触れるようなことをした場合、懲戒解雇になるくらいです。
また有休取得日数も会社側で把握されており、有休を全然とっていないと労働組合側から上司に対して通知がきます。
社内独自研修制度以外にもE-ラーニングや語学留学制度が充実しており、おそらく私も数百万円分くらいはお金を使わせて頂いています。
福利厚生が充実
法律で定められている年金や保険などの福利厚生は除きますが、会社独自の福利厚生も恵まれています。
充実した福利厚生
- 住宅補助 (独身寮や家賃補助)
- 各種慶長見舞い金(出産、結婚、葬式などに対して数万円)
- 産休や育休制度
- 健康診断は無料
- 各種財産形成制度
入社直後は独身寮に配属されますが、月々の家賃は1万円程度です。
結婚してからも、地域によりますが家賃の50%~80%くらいは会社が補助してくれます。
出産や結婚、お葬式などの各種慶長見舞金制度も整っており、数万円程度会社からいただくことができます。
女性の方は産休や育休制度が充実していますので、きちんと法定以上の期間育児に専念することができますし、連続して子供を産むのも全然問題ありません。
健康診断は無料ですし、35歳以上からは人間ドッグも完全に無料です。
持株会や財形貯蓄制度、確定拠出年金制度などもしっかり整備されていますので、ライフプランを立てるのにとても役立ちます。
ローンやクレジットカードの審査で落ちない
1年目や2年目のお給料であっても、クレジットカードや車のローンの審査で落ちることは、ほぼありません。
2年目で一軒家を購入した人もいましたが、その時も住宅ローンの審査も問題なく通過しました。
基本的にみんな賢い
特に開発系の人はそう感じます。
学生時代は数多くのバイトを経験してきましたので、色んな人を見てきました。
知識のレベルは様々ですし、論理が通じない人もいます。
しかしながら、一部上場企業に勤めている人(あるいは大学院の時くらいから)は、会話のテンポが同じくらいで進んでいきますので非常にストレス低くコミュニケーションをとる事ができます。
大企業で働くデメリットって本当?
私の今の職場環境で、以下回答していきます。
業務範囲は狭い?
開発職は広い分野に関わります。
企画、開発、量産、品質保証、プロモーションなどあらゆる場面に駆り出されます。
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転勤や異動が多い?
転勤に関しては人によりけりなところがあります。
転勤がどうしても嫌だという人は、その事業所毎の採用に切り替わることもできますし、社内で結婚されている方は会社側もかなり配慮してくれます。
異動は比較的多く、組織変更によってちょくちょく変わることがあります。
一方で、専門外の分野にも、本人が希望すれば比較的に大らかに考えてくれる場合もあります。
スピード感がない?
確かに、数億円規模の投資だと、取締役会にかけられますので時間はかかります。
ただ日々の業務で必要な発注や、材料の調達に関してはかなりスピーディに動いてくれることもあります。
そんなにスピード感が無くて企業の損になることはあっても、個人としてのデメリットにはならないい気がしますが。
出世が遅い?
年功序列的な考えは未だにあります。
私が10年前に入社した頃よりも、課長クラスに出世するのは早い人も見られますがそれでも30代半ばです。
IT企業のように、20代で役員クラスとかにはまずなれないと思います。
出世争いが大変?
入社してくる人数も多いので、課長クラス以上になるとやはり厳しくなります。
部長級になるとかなり限られてきますので、本当に優秀な方しかなれていません。
ただ、優秀じゃないのに、出世してもしんどいだけですので、ある意味健全かと個人的には感じてしまいます。
経営陣との距離が遠い?
部署や人柄にかなりよります。
日本にいると確かに経営陣と話すときはかなり緊張しましたが、それでもたまに食事に誘っていただくこともありました。
海外赴任していますと、役員との距離感がさらに近づきますので、個人的にはもう距離感を感じていません。
自分の意見が通らない?
私の会社は、比較的柔軟に対処してくれる会社だと思います。
たまに、会社でもそういうことを言う人がいますが、大体以下のような特徴があります。
- 論理的な理由も、会社のメリットもない
- 仕事の成果が出ておらず、周りからの信頼が低い
- 根気強く交渉しておらず、すぐ諦める
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専門性が磨かれない?
私は開発職ですので、むしろ専門的すぎて少し不安になっています。
というか営業職でも企画職でも、普通に10年も勤め上げれば立派なスキルが身につくと思います。
身についていない(と感じる)場合は、謙遜のし過ぎか、業務をただこなしていただけかどちらかだと思います。
もちろん改善すべき点やデメリットもある
出世と実力が一致するとは限らない
日本の評価システムは、まだまだ定性的な部分が多く、出世は上司の好みやその時の運などで左右されることの方が多いです。(これは仕方のない部分が大きいと思います)。
出世する人
- 上司と仲が良い人
- 上司の命令を忠実に守れる人
- 仕事で失敗をしなかった人、責任をとらない人
- たまたま業績の良い部門にタイミング良くいた人
- 優秀すぎない人
- 自分の成果を不足なくアピールできる人
ハードワーカーが多い
近年では、三○電気の自殺問題や、ソ○ーの駐在員の方が労災認定を受けるなど、まだまだ長時間労働は是正されていません。
幹部の方々は、過去にとてつもなく働かれてきている(方が多い)ので、それだけの苦労を求められる人もいらっしゃいます。
特に管理職以上になると、残業という概念がなくなりますので、長時間働くことを強いられることもしばしば見受けられます。
クビにしないので、余計な仕事が生まれる
社員の雇用を守るのは、日本企業の良いところでもありますが弊害も少々あります。
仕事がないにも関わらず、時間潰しのための仕事を作ろうとするので、変な社内ルールを作ろうとしたり、よくわからない部署が増えてしまいます。
周りを巻き込んでしまうと、生産性を下げる場合もあり、むしろ会社にとってマイナスの貢献をします。
最後に一言
よく会社紹介に出てくるような、仕事もプライベートも楽しんでます!みたいな人は極々一部です。
人事達は社外に良く見せる為、会社にある程度忠誠心があり、サラリーマン生活を満喫している人しか選びません。
最前線で働いているような人達は、忙しすぎて表に出てきませんし、正直な話をしてしまうと入社する人いなくなってしまうからです。
Openworkなどの口コミサイトの方がよっぽど信用になるかと思います。
以上です。