入社してからおおよそ10年経ちましたが、当時はアメリカで5年間も勤務するとは到底想像できませんでした。
ましてや、奨学金の借金とリーマンショック直後の不況で日々の生活も大変だったのに、準富裕層まで到達するとは。
この10年間で私生活もサラリーマン生活も大きく変わりましたので、少し過去を振り返ってみます。
ちなみに私が勤めている会社は、
- 東証一部に上場知ってて
- 製造業で
- 創業50年以上経っています。
仕事のツールの性能は間違いなく上がっている
ハード面でもソフト面でも仕事に関するツールの性能はあらゆる面で向上しています。
まずは社用パソコンです。
パソコンの単純なスペック上昇に伴う処理速度以外にも、ソフトウェアがどんどん使いやすくなっています。
使用するソフトは勿論マイクロソフト様から購入しているオフィスです。
Outlookがグローバルで使用されるようになった以外にも、Teams (昔はスカイプを使用していました)を使ってオンライン会議も簡単にできるようになりました。
個々のパソコンのデータも、簡単にクラウドでバックアップ及びデータシェアもできるようになり、便利になりました。
また入社当初は、社外からの電話をつなぐ固定電話があり社用電話もPHSでした。
当時は、固定電話を取るのが嫌で嫌で仕方なく、ずっと実験室に籠もって極力近づかないようにしていました。
また、PHSなんてかなり限られた範囲でしか内線番号が使えませんでしたし、違う事業所に電話をかけるだけでも一苦労でした。
数年たつと折りたたみ携帯(FMC携帯)に統合されるようになり、内線番号も使えますし国内出張中にも使えるようになり大変便利になったなぁと思っていました。
しかしながら、問題は海外出張の時です。
FMC携帯ですので、海外では使えませんので都度海外出張用の携帯を総務に借りにいく必要がありました。
2015年頃からはiPhoneを使えるようになってきました。
内線としての機能はついたまま、海外にも電話が掛けられるようになり、メールアプリを含め電話会議アプリも使えるようになりましたので、幸か不幸かいつでもどこでも働けるようになりました。
他方で、気をつけないといけないのが情報セキュリティです。
スパムメールが来るのは勿論ですが、機密情報や社内秘、社外秘など、自社技術と顧客情報への取り扱いへの感度が非常に厳しくなりました。
iPhoneでも個人的なアプリをインストールしたくなる気持ちはありますが、基本的に会社の持ち物は常に監視されているものなので、そこは気をつけるようにしています。
働く環境もちょっとグローバル化している
年功序列制度は完全に無くなったわけではなく、職歴が長い程給料が高くなるのは未だに変わりません(アメリカも同じですが。)。
しかしながら、給料は職歴ではなく職位を重要視するようになった為、歳が低くても役職が高い人の方が給料が高くなる仕組みへと変更となりました。
完全なジョブ型雇用に移行した訳ではありませんが、昔流行ったウィンドウズ2000みたいな人はもういません。
人材採用も少しずつではありますが変わってきています。
最近では新入社員の中にかなりの割合で海外の方と女性の割合が増えてきました。
新卒採用のみならず、最近では中途採用の方もかなり増え、幹部連中の中にも転職組の方がかなり大きくなってきました。
中途採用で入ってくる人の多くは優秀な人が多く、また働くポジションとのマッチングも良い為、高いポジションにつかれているのでしょうか。
それでも尚、アメリカで経験した働き方とは、以下の点でまだまだ日本企業と開きがあるように思います。
- 従業員を解雇するにはかなりのハードルが高い。
- 個人での給料交渉が少ない。
- 転職を自身のステップアップとして利用。
働き方という面は大きく変わってきています。
過労死がかなりメディアで取り上げられるようになってから、労働時間管理はかなり厳しくなりました。
サービス残業はできませんし、深夜までの残業も(会社では)よっぽどの理由がない限り不可能です。
さらには、これまでは指導という名のパワハラめいた恫喝が度々ありましたが、最近では全くと言ってほどなくなったそうです。
(伝聞系なのは、アメリカにずっといるので又聞きのため)
入社当初はボロクソ怒られながら仕事をしていたので、最近の新入社員が羨ましいです。。。
コンプライアンスが中々厳しくなってきましたので、上司たちもハラスメント研修の受講は必須ですし、勿論恫喝なんてすればポジションを外されてしまいます。
おそらく今後は、人種や性などあらゆる差別に関する発言への取り締まりは厳しくなってくるでしょう。
また、まだまだ各個人への職務記述書(ジョブディスクリプション)などもありませんが、人材の流動化に伴い必要となってくるように思います。
悪くなったのは福利厚生と人口ピラミッド
会社の福利厚生は年々悪化する一方です。
- 出張手当
- 海外赴任手当
- 住宅補助
- 交通費手当
など、種々手当てが削られるようになりました。
ITバブルとリーマンショック、コロナショックなどの経済危機の度に、手当ての見直しが行われ、その後景気が回復しても元に戻ることはありません。
これに加えて、税金や社会保険料が上がり続けているため、手取り給料は下がる一方です。
住宅補助もマイホーム購入を前提とした設計になってなっていますが、多くの方は厳しい状況です。
→海外駐在すれば話は別ですが。参考: 海外駐在すると家は建つ?【貯金はいくら貯まるのか】
少子高齢化は会社の中でも進んでおり、課長以上の人数に対して主任以下の人数が少なすぎるようになりました。
課長以上しかいない部署や、課長と新入社員だけのような部署もちらほら。
今いる人材に合わせて組織を作る文化が未だに蔓延っているため、このような事がおきます。
指示出しをする人ばかりで、手を動かす人がいなければ、若手の人は嫌になりますよね?
結果として、部署によっては多くの若手が転職するなど、10年前ではあまりなかった問題が最近は起きています。
部下もいない、仕事もない、元偉い人が次にする行動はなんでしょうか?
無駄な組織を作ったり、無駄な仕事を作ろうとしてきます。
- 会議をやたらと設定したがる人
- 情報の精度に異常にこだわる人
- 事前すり合わせを何度もしたい人
とはいえ、日本の法律では簡単に人を切ることもできませんので、苦肉の策として早期退職を実行します。
そうして、有能な人は割増された退職金を持って競合へと移り、無能な人だけが会社にしがみつくという悪循環が生まれます。
歳がいってて、無能で、無駄な組織で無駄な仕事をしている人(所謂「老害」)がいる結果、会社の生産性が落ちます。
ここまで辛辣なことをつらつら書いてきましたが、「老害」と呼ばれる人はごく少数です。
少なくとも開発職においては、大多数の(自身の感覚でいえば8割くらい)人は、
- 専門的に強い領域があるスペシャリスト。
- 会社の技術の変遷を知る語り部みたいな人。
- 製品の不具合対応を知り尽くした人。
などなど、「こういう問題があればこの人に聞こう」みたいな駆け込み寺みたいな人はたくさんいます。
それまで会社の貢献してきた人が、「組織の若返り」という名のもとに年齢を理由に、優秀な方でも役職を外されるのは、会社にとって不利益です。
会社の人事制度として、「マネジメントが不得意だけどスキルがある人」が恵まれない環境にいるのは若手〜中堅としても他人事ではありません。
なぜなら、それは自身の10年後の自身の姿と重なるからです。
日本のベテランの多くは本当に優秀ですので、もう少し50歳代くらいの人材配置をうまくすれば、全年代で活躍できる人が増えるのではないでしょうか。
知らんけど。