仕事の合間をぬって簿記3級と簿記2級を取得しました。
社会的に成功している(と言われている)人達が「簿記は大事だよ」って言ってたのをyoutubeで見て、勉強を始めたのがキッカケでした。
確かにお金の大きな流れを学ぶことができたのは、貴重なことだったと思います。
他方で、簿記の勉強をしている中で、以下2点考える部分がありました。
- 業務面で簿記は活かせるか否かについて。
- 簿記に合格するための勉強について。
本記事では1.の業務面に簿記は活かせるかどうかについて述べていきたいと思います。
こんな方におすすめ
- これから簿記を受けてようと考えている人
目次
業務面で簿記は活かせるか
私は日本の製造業で開発職として働いていますが、簿記の資格が業務面で大きく役に立ったということはありません。
少なくとも簿記2級レベルでは、今後の出世に役に立つとも思えませんし、サラリーマン人生を左右するものではないと断言できます。
勿論、取得してほんの少ししか時間は経っていませんので、数年とか経てば意見は変わっているかもしれません。
そのような中でも、少しだけ業務に活かされているかも?ということはあります。
一つ目は、日々の業務である程度知識が役に立っていること。
二つ目は、「ビジネスマンとしての常識」の意味が理解できたこと。
それぞれ、少し解説します。
簿記の知識は、日々の業務である程度役に立つ
どのようにある程度役に立っているかというと、「ビジネス上の会話内容が理解できる」というようなイメージであり、専門知識というより語学スキルと非常に似ていると感じています。
「ビジネス上の会話」と、「理解できる」というのは、どのようなものか、少し詳しく説明します。
ある程度年齢を重ねてきますと、たとえ開発といえど、ラボでの技術的な検討以外にも深く関与していくことが求められます。
例えば、新しい開発テーマを立ち上げる際には、技術的なところ以外にもビジネスとして成り立つか否か、という問いに対して回答を準備しておく必要があります。
大前研一さんが提唱された3C分析の観点から考えますと、
- 競合に勝てるのか?
- 顧客は何を求めるのか?
- 自社としてはどう戦うのか?
などなど、しっかり調査しなければなりません。
そして、その調査の中には、勿論利益率の計算も含まれます。
営業利益はどうなっているのか?限界利益はいくらか?減価償却費は?など、しっかり経理や企画のメンバーと詰めなければなりません。
そのような中で、簿記の勉強のおかげで、上記の用語や内容も理解することができます。
しかしながら、管理会計の分野になってきますと範囲外となってきますので、ビジネスに関するところを全て理解できている、という訳になりません。
冒頭で語学スキルで表現しましたので、TOEICの点数で表しますと、イメージとしては
簿記3級 = TOEIC 400点
簿記2級 = TOEIC 600点
くらいでしょうか。
簿記1級は管理会計も含みますので、TOEIC 900点以上にはなるのでしょうか?(保持していないのでわかりません)
「ビジネスマンとしての常識」の意味
上記の例にも出しましたが、投資の意思決定を行うときに確認すべき項目というのはある程度決まっています。
そして、会議体の限られた時間の中で、幹部連中はわざわざ意思決定の根拠を一語一句説明なんてしてくれません。
例えば、「今回上市する新製品の限界利益率は20%です!」みたいなことを言えば、一秒で却下されます。
事業として成り立たないことが明白だからです。
そのようなことは、全員の中で共通認識として持っており、1 + 1 は2だよね。くらいの感じです。
演繹的な推論で意思決定を行う場合でも、大前提の部分に簿記2級レベルの会計知識はあり、それを基に会話が進んでい来ます。
このようなところが、「ビジネスマンとしての常識」と私は感じました。
会計知識以外にも「インテグリティ・ダイバーシティ」「環境貢献」など所謂ESGという項目も、同等の扱いになってきていると感じています。
判断基準が今は種々雑多ある中で、いずれはグローバルの指標ができ、その内会計基準のようなもの設定されるでしょう。
そしてその時には(というよりもう既に)、ESGに関する基礎知識があることはビジネスマンとしての常識になると思いますので、しっかりと理解することの重要性を感じることができたことも簿記試験を通じて得た学びの一つです。
ですので、「簿記3級を取れば人生が変わる」みたいなことを言っている人がいれば、一旦深呼吸して考えた方が良いでしょう。
何か簡単な資格を取るくらいで人生は絶対変わりませんので。
以上です。