台湾生活

『2020年台湾総統選とは?』 -5分で読めて、概要が誰にでもわかる-

2020年1月11日、この日は台湾人にとっては恐らく自分や親族の記念日よりも大切な、そしてアツい一日でした。

ポッキーの日ではないですよ?(ちなみにポッキー&プリッツの日は11/11ですので、お忘れなく)


 

 

 

数字で見る総統選の結果

そう、この日は"台湾総統選"の投票日でした。

結果からお伝えすると、民進党の蔡英文総統が再選を決めました。

投票率は驚異の75%!!(人口2,400万人、有権者数1,900万人、投票者数は1,400万人)

こんな数字日本で見たことありません、むしろ投票しなかった人の比率が日本の投票率くらいですから、政治に対する国民の関心が強さが伺えます。

投票者数1,400万人に対して、蔡英文氏の得票数は過去最高の800万票超え!!

(ちなみに、新聞各社は"圧勝"と報じていますが、2位の韓国揄氏の得票数も550万票とそれなりの得票数でした)

なお、台湾新幹線(台湾高鐵)の南下路線(くだり)で過去最高の18万人超え

http://japan.cna.com.tw/news/apol/202001110008.aspx



そもそも台湾とは?

タピオカ好き!!台湾の女の子可愛い!!台湾によく旅行に行く !!

そんな日本人も大好き台湾、でも台湾て国なのか?それとも中国の一部?よくわからない人もいると思います。

台湾の正式名称は中華民国、聞いたことありますよね、、、大丈夫!!私も台湾に来た頃はよくわかっていませんでした。

以下で簡単に説明しているのでご覧になってください。

中華民国は共和制"国家"であり、首都はよくご存知、台北市です。

ただし!!

中国(中華人民共和国)が台湾を"国"として認めておらず、更には世界中の国々に国家承認をしないよう求めていることもあり、正式に国家として承認している国は15カ国のみです。

そして、なんと、これだけ仲の良い我が国、日本も台湾を国家としては承認していないのです、つまり日本にとって、台湾は国家ではないのです。

これには過去の歴史が関係していますが、長くなるので以下の通り簡単に説明します。

  

 

<概略>

・1912年1月1日、中華民国が成立、この時点では中国大陸(いわゆる、現在の中国)を掌握していた

 *この時点ではまだ現在の中国(中華人民共和国)は存在していません

・1945年、第二次世界大戦が終結すると共に、共産党との内戦で中国大陸を失い、中華民国は台湾島へ退却

・1949年10月1日、現在の中国(中華人民共和国)が正式に成立し、中国大陸の大半を支配下とする

・1971年以降、それまで国連で"中国"としての席を担っていた中華民国だったが国連を脱退、同年、中華人民共和国が国際社会での"中国"政府として扱われるようになる

・その後、中国(中華人民共和国)は「One China(一つの中国)」概念を提唱

 *「中国大陸・マカオ・香港、そして台湾は全て中華民族の一国"中国"であるべきで、全中国(中国大陸・マカオ・香港・台湾)を統括する中華人民共和国政府との、主権及び領土の分割は認めない」という中華人民共和国の概念

・2003年以降、中華民国の旅券には"TAIWAN"が付記されている

 *"台湾"を強調すると共に、中華人民共和国との混同を避ける為とされている

 

つまり、元々は"中国"であった中華民国が内戦で負けて台湾へ逃げたのち、内戦で勝ったかつての同胞の共産党が別の国家である中華人民共和国を設立。

次第に国際社会で力をつけていったことで、中華民国から"中国"としての立場を奪い、今度は中華民国、マカオ、香港を全て"中国"へ取り込もうとしているわけです。

それに対して、台湾はもとより、昨年大きな話題になった香港も、拒絶反応を示しているわけですね。

*マカオ・香港の立場や歴史、デモ背景についてはここでは触れません

そして、中華民国である台湾人は"中華人民共和国"と間違われないように、自らのことを台湾人と呼ぶようになってきています。

日本としては、台湾は良いパートナーとして今後も付き合っていきたいが、経済的に無視することのできない中国(中華人民共和国)の意見も外向きには認めた形にしておきたい、という外交上の理由から、台湾を正式には国家とは認めておりません。

ただしご存知の通り、実務的な関係は続けており、双方の信頼関係も日に日に強くなっています。

https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/bs22/special/2019/12/1225.html

 

台湾の総統選はどんな仕組み??日本と何が違うの?

国の代表を決める、台湾の総統選、日本の内閣総理大臣指名選挙の違いは、台湾では住民が直接投票し、その票が直接総統の選択に影響するという点ですね。

日本では、皆さんが安倍総理に直接投票するわけではないですよね、内閣総理大臣指名選挙の投票権を得るためには、まず国会議員にならなければいけません。

 

また、台湾では投票日が一日しかありません、本人が所定の場所・日時にて自ら投票をする必要があります。

日本のように期日前投票といったものや代理投票はありません。

当然、交通機関も大渋滞、前述の通り台北と高雄を繋ぐ新幹線(台湾高鉄)は、南下線で一日乗車人数の記録を更新。

そして今回、2020年の総統戦では、世界に散らばっていた台湾人がこの日の為だけに台湾へ一時帰国、そして投票後、すぐにフライトといった方が特に多かったようです。

https://www.asahi.com/articles/ASN1B56TXN1BUHBI021.html

2,000万分の1票を入れる為に、お金と時間と体力を削って、台湾に戻ってくる。

日本とは選挙に対する、というよりも、国家そして自らのアイデンテティに対する意識の違いが如実に表れているように思えます。

(でも、「明日からも日本人でいるか、それもと韓○人になるか、国民投票で決めます」と言われたら仕事休んでお金払ってでも帰国するかも、、、)

 

尚、任期は4年で3選はありませんので、4年後の次回は誰になるのか見ものですね。

 

 

今回の選挙はなんでそんなに大切だったの??

今回の総統選は近年の台湾にとって最重要と言っても過言ではない選挙であったとも言えます。

台湾総統への候補者は3名、中でも有力視されていた2名のそれぞれ政党と方針の違いはざっくり以下の通りです。

 

民主進歩党(民進党): 蔡英文 氏(現職→再選)

 *現職中から、対中、親日の政策を取ってきており、今後も継続の方針

中国国民党: 韓国揄 氏(現高雄市長)

 *近年における台湾の経済停滞は、現政権の対中政策が招いたものとして批判し、中国(中華人民共和国)へ歩み寄る方針を表明

 

ここで重要なのは、当選した蔡英文氏ではなく、韓国揄氏の方針・政策になります。

前述の通り台湾の国家としての歴史は複雑で、一国二制実現への明確な意思を国際的に強く示し、将来的な台湾(中華民国)の中華人民共和国への取り込みを目論む中国(中華人民共和国)との近年の関係は、お世辞にもよろしくありません。

時を同じくして、香港でも昨年から類似の背景を発端としたデモが続いており、「今日の香港は、明日の台湾」と考える台湾人が、中国側のやり方に強烈に反発を示し始めました。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69772

(蔡英文総統の一選目であった2016年には、日本でも大人気の韓国アイドルユニット"TWICE"で活躍する台湾人美少女"ツウィ"さんの涙ながらの謝罪会見も問題になりました *詳細は↓のリンクより)

https://www.huffingtonpost.jp/2016/01/16/tzuyu_n_8997274.html

そういったフラストレーションが溜まる中、中国寄りの方針を打ち出す候補者である韓国揄氏も次第に有力視されていく中で、いよいよ中国に対する不満を持っていた台湾人達が世界中で大爆発したという格好です。

 

中国寄りの政策を謳っている韓国揄氏が当選するとどうなるか?

将来的に中国(中華人民共和国)に統合される可能性が高まる

自分達は"台湾人(中華民国人"である!!

対中政策である蔡英文氏を勝たせよう!!(韓国揄氏を"勝たせないよう"にしよう)

 

ただし、韓国揄氏も高雄市長に当選した実力者であったことから、万が一にも負けられない!!

(私の住む高雄では、2019年末に韓国揄氏反対のデモが散見されました)

こういった考えのもと、世界中からこの日の為の帰省者も群がり、過去最高となる800万票と言う得票数が蔡英文氏に流れたと考えられます。

まさに、台湾人のアイデンテティの勝利と言えるでしょう。

 

これからの台湾はどうなる?

再選を実現させた蔡英文総統が当日中に即以下の発言をしています。

「今回の選挙結果により、台湾の主権と民主主義が脅かされた時、我々が決意を叫ぶ声はさらに大きくなることが示された」

https://www.cnn.co.jp/world/35147904.html

まさに今回の結果をそのまま明文化した形ですね。

また引き続き、親日政策は続けいただけるようで、我々日本人にとっては良い結果(?)になったとも言えるかもしれません。

http://japan.cna.com.tw/news/apol/202001120005.aspx

 

これに負けず早速、中華人民共和国の習近平国家主席も反論をしており、今後の台中関係の更なる緊張が予想されます。

超親日国である台湾が、そして台湾人の未来が、素晴らしく幸せな道に導かれることを祈るばかりです。

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