本記事のタイトルの意図としては、「サラリーマンはオワコン」と主張している方々が挙げている理由がヤバいってことです。
大体のロジックとしてはこうです。
- サラリーマンの待遇は年々悪くなっている。
- それらの理由は、○○だからである。
- よってサラリーマンはオワコンである。
というものです。
しかしながら、実際にサラリーマンをしている私からすれば、全くピンとこず、単に煽っているだけのように感じました。
私なりの考えを以下まとめてみました。
こんな方におすすめ
- 「サラリーマンはオワコン説」に違和感を持つ人
言葉の意味を確認
サラリーマンとは、定期的に勤めて生活する人や給与生活者のことです。1)
オワコンってのは、「話題性が薄れ、魅力がなくなり、既に興味を引かなくなったコンテンツなどを意味する表現。」であったり、「時代に合わなくなっている、あるいは流行遅れの、っていう意味も含みます。2), 3)
つまり、「サラリーマンがオワコン」という言葉は、「定期的に勤めて生活するってのは、もう魅力が無くなってきている」ということです。
この手の記事であったりブログを読んでいると、「いつと比較して魅力が無くなっているか」という話がすっぽり抜けて落ちていますので、正直全く理解できません。
むしろサラリーマンとして勤めて続けている私からすれば、ある程度条件を満たせばサラリーマンとしての働き方は改善しているとしか思えません。
私が考える条件とは以下のようなものですが、全てを満たす必要も、以下に限ったものではありません。
- 成長している業界であること。
- きちんと法令を守っている会社であること。
- 利益を出している会社であること。
- 自身がスキルアップに対して前向きであること。
オワコンって主張している理由
一般的にサラリーマンオワコン説を主張する方々が挙げられている理由は大体以下のようなものです。
- 終身雇用制度が終わったから
- 正社員でも安定しなくなっているから
- お給料が上がらないから
- 制約が多いから
- 「老害」のせいで昇進できないから
- 同一労働同一賃金
以下一つずつ見ていきたいと思います。
終身雇用制度が終わったから
この理由が挙げられる背景としては、多分以下2点が挙げられるのでは無いでしょうか。
- トヨタの社長が「終身雇用はもう無理」って言ったから4)
- サントリーの社長が「45歳定年制」5)
もうサラリーマンも終わりだーって言ってる人たちよく考えて下さい。
企業の寿命は30年と言われている時点6)で、多くの人にとってそもそも終身雇用なんて存在しないのです。
存在しないものを、あたかも企業の都合で無くなったかのように言うのは非常に違和感を覚えます。
もし仮に企業の寿命が長い日本の企業に入れたとしましょう。
まず優秀な人材、というか普通に成果を出し続けており、学び続けている人たちをクビにすることはできません。違法です。
会社としても優秀で経験のある人材に去って欲しいとは思っていません。
若手の成長を邪魔するだけの給料が高い人や給料相応の仕事をしない人に去って欲しいだけなのです。
そして何よりアメリカでは年齢で区切ること自体が差別として見做される為、「何歳だからどうのこうの」って話は近い将来無くなるでしょう。
正社員でも安定しなくなっているから
「安定」の意味の捉え方は種々あると思いますが、多くの方にとっては「企業が安定してお金を払い続けてくれる状態」のことを指していると思います。
先程の終身雇用の話とも関連しますが、そもそも企業なんて安定していません。
山一證券の破綻やリーマンショックを目の当たりにして、自分の勤めている会社に限って潰れるってことは無いと信じるのは、いささか無理があるでしょう。
「会社の倒産件数が増えてきている」とかってブログも目にしましたが、本当にそうでしょうか?
東京商工リサーチによると企業倒産件数は、コロナ前の時点ではむしろ減少傾向でした。7)
つまり、正社員が安定しないなんてことはバブル崩壊以降自明なことであり、現在サラリーマンをしている人はほぼ全員理解しているはずです。
企業の倒産件数もこれまでむしろ改善傾向だった為、近年あたかも安定しなくなってきたと言うような主張をすることは間違っていると言うことです。
給料が上がらないから
ちゃんとした会社に所属すれば給料は普通に上がります。
もし上がらないのであれば、それは「サラリーマン」ではなく、「勤めている会社」が悪いという可能性が高いです。
あるいは、日本の平均給与推移(以下画像)8)引き合いに、サラリーマンの給料が上がらないと言っているのでしょうか?
マクロとして給料が上がらないということは事実ですが、我々の日々の生活とは一致するとは限りません。
上記したように、儲けの出ている普通の会社で、普通に出世すればお給料は増えます。
画像) 厚生労働省より引用
「頑張っても給料に反映されない、なので頑張ったら損だ」
って主張もたまに見かけますが、これも如何に的外れなことを言っているがわかると思います。
そもそも会社は頑張りではなく、成果に対して給与を支払います。
成果を出すためや、スキルを上げるために頑張るのであって、その選択は完全に個人の自由です。
給与に反映されないのであれば、それは成果に繋がっていないからです。
制約が多いから
服装であったり、勤務地、勤務時間、仕事内容や同僚など選べるところと選べないところがあるのは事実です。
しかしながら、上記内容に関しては近年かなり制限が緩和されているのも事実です。
2005年には、小池百合子氏がクールビズを提唱したことをきっかけに、真夏にスーツを着るという文化は無くなりました。
またコロナ禍以降、リモートワークが進み勤務地の選択の自由は、勤務時間もフレキシブルになってきています。
何十年も前であれば在宅で働くなんてことはサラリーマンにはできませんでしたので、技術の発展と共にかなり働きやすくなってきています。
仕事内容に関しては、スキルがちゃんとあれば自分に合った仕事をある程度は選ぶことができます。
経理出身でも経営企画に行く人もいれば、開発から事業企画や営業に行く人など様々です。
もちろん企業の戦略の都合上の異動はありますが、多くの場合は自身の能力が必要されていないのか、そもそも自身が主張していないかのどちらかです。
制約に関しては改善傾向にあるのに、最近になってオワコン化しているっていうのも如何におかしな話だと言うことがわかるかと思います。
「老害」がいるから昇進できないから
めちゃくちゃ優秀な人間にとっては耐えられ無いことだと思いますし、私自身もそんなことで優秀な人材が潰れてしまうのは大きな損失だと思います。
確かに極めて優秀な人間にとって、「サラリーマンはオワコン」というのは理解できますが、多くの場合はそれに該当しません。
99%くらいのサラリーマンは、その極めて優秀なサラリーマンには該当しません。
自身が昇進できないのは上が詰まっているからではなく、大抵の場合は自身の能力が大したことないことと、サラリーマンの出世なんて運で決まるからです。
残念ながら実力以上に、どの上司と仲良くしてたかって方が出世には遥かに大事です。
つまり、老害があなたの出世を邪魔しているのではなく、あなたの運(と実力)が悪かったのです。
ちなみに私が勤めている企業では、老害なんてほとんど見かけませんし、本当にそういう人がいればもっと上の幹部からポジションを外されます。
なぜなら組織に対して有益ではないからです。
それすら判断できないのであれば、それは「その企業が腐っている」だけですのでさっさと転職しましょう。
同一労働同一賃金になっているから
この主張を聞いた時は、本当に意味が理解できませんでしたが、一応の理屈は以下のようになっています。
- 契約社員と正社員がもし同じ仕事をしていたら、同じ給料を支払わないといけない。
- よって、正社員の特権が無くなる。
- なのでサラリーマンはオワコンだ。
ということです。
経営者の立場からすれば、契約社員で済む仕事になぜ正社員分の給料を支払わないってのは、当たり前の話ですよね。
普通に考えると、正社員の待遇を悪くするのではなく、正社員に対してランクの高い(より価値を生み出すような)仕事を与えるようになります。
そして、そういう仕事ができないのであれば、契約社員にされても仕方ありません。
正社員に特権みたいなものはなく、そして正社員になること自体はゴールではなく、キャリアを積み上げる為のスタートに過ぎません。
時代の流れに合わせて、サラリーマンとして働き方は変わっていきますが、その変わること自体を否定したら今後どこも雇ってくれなくなるでしょうね。
以上です。
サラリーマン万歳。
引用
1) サラリーマンとは
2) オワコンの意味・解説
3) 「オワコン」とはどういう意味? 「オワコン」の意味と使い方について解説!
5) サントリー新浪社長の「45歳定年説」はどこがダメか、山崎元の本質的考察
8) 賃金の推移