こんにちは。
これまでに金ETFと銀ETFについて調べた結果をシェアさせていただきました。
周期律表において、金や銀の隣にあるプラチナとパラジウムについて今回は調べました。
それぞれのETFに加えて、需要や用途もまとめましたのでシェアしたいと思います。
こんな方におすすめ
- プラチナETFとパラジウムETFについて知りたい方
- プラチナやパラジウムの需要や供給についても知りたい方
今回紹介するETF
アバディーンスタンダード社のETFを比較に使用しました。
- プラチナETF: PPLT
- パラジウムETF: PALL
プラチナETFとパラジウムETFについて
2010年以降のパフォーマンスをまとめます。
プラチナETFとパラジウムETF
プラチナETF (PPTL)
- 右肩下がりのパフォーマンス
- 急激な上昇も減少もなし
パラジウムETF (PALL)
- 右肩上がりで良好なパフォーマンス。
- 特に2018年頃から急激に上昇し、1年間リターンは40%越え
プラチナETF (PPTL)とパラジウムETF (PALL)の10年間パフォーマンス
シンボル | PPLT | PALL |
---|---|---|
対象 | プラチナ | パラジウム |
費用 | 0.60% | 0.60% |
利回り | 0.00% | 0.00% |
運用額 | $587.5M | $261.3M |
設定日 | 01/08/2010 | 01/08/2010 |
1年リターン | -11.82% | 41.29% |
5年リターン | -7.71% | 19.66% |
10年リターン | -8.17% | 12.92% |
どちらのETFも、費用は0.60%であり、IAUの0.25%やSIVRの0.30%と比較して高めに設定されています。
分配金は両方ともありません。
運用額はビリオンドルに達していませんので、大きい運用額とは言えません。
プラチナは過去10年間で、ずっとマイナスのリターンを示しています。
他方、パラジウムは過去10年間で、ずっとプラスのリターンを示しています。
これまでの結果を見てみますと、以下のような疑問点が湧いてきました。
ポイント
- パラジウムETFは、今後も上がり続けるのか
- プラチナETFは、この先もずっと右肩下がりのまま続くのか
以下、プラチナとパラジウムについてもう少し調べましたので、ご興味のある方はご一読いただければ幸いです。
プラチナとパラジウムの価格について
プラチナは2008年頃までに急激に上昇し、2011年以降は右肩下がりを示しています。
パラジウムは2000年に上昇したあとは低迷を続け、2018年頃から急激に上昇しています。
出典: プラチナ投資のエッセンス
プラチナは当初自動車の排ガスを浄化する装置の触媒*として使用されてきましたが、価格が上がりすぎた為パラジウムで代替する研究が盛んに行われるようになりました。
結果として、パラジウムが主に使用されるようになりましたが、需要の高まりに伴い価格がどんどん上昇し、ついにはプラチナの価格を上回ってしましました。
そして、今度はパラジウム触媒をプラチナ触媒と代替、あるいは併用できないかという研究が行われてきています。
触媒とは?
簡単に言うと、化学反応速度を促進するような物質のことです。
自動車用途などでは、有害な排ガスを無害なガスに変換する反応に用いられています。
プラチナの需要と供給について
過去のプラチナの需要と供給を見てますと、大きな上昇もなく、2020年は下がる見込みとなっています。
出典: PLATINUM QUARTERLYQ1 2020のデータを加工して作成
プラチナの需要
自動車と宝飾関係の需要が大きく、次いで産業での使用が多くなっています。
コロナの影響で、自動車の生産も大きく減少していますし、購買意欲も下がってきていますので全体的に需要は減少しています。
出典: PLATINUM QUARTERLYQ1 2020のデータを加工して作成
プラチナの供給
プラチナの供給は鉱山で採掘し、精製されるものが大半を占めています。
上記した通り、需要量が減っていますので、生産する量も調整されるだろうと見込まれています。
プラチナの精製製造量は、南アフリカが最も多く約7割を占めています。
パラジウムの需要と供給について
パラジウムの需要
パラジウムの需要の8割以上は自動車用途となっています。
産業関係が10%程度あり、宝飾あるいは投資関係の割合は10%程度以下となっています。
引用: WPIC_Platinum_Essentials_March_2020_JA.pdf
自動車関連の需要の伸びは、2009年以降右肩上がりに増え続けています。
パラジウムの価格も、需要の伸びに従い上昇していますが、近年はやや加熱気味にも思われます。
引用: WPIC_Platinum_Essentials_March_2020_JA.pdf
しかしながら、過去28年間で自動車の生産販売数は1.6倍であったのに対して、白金属触媒(PGM、パラジウム触媒とプラチナ触媒のこと)の需要は6倍以上に増えています。
これは単なる自動車の生産台数や大型化ではなく、排ガス規制の厳格化が背景にあり、有毒性のある排ガスをできるだけ無害なガスに変換する為に、多くの金属触媒を使用する必要がありました。
引用: WPIC_Platinum_Essentials_March_2020_JA.pdf
テスラ始め電気自動車が台頭してきてはいますが、少なくとも今後10年間は、依然としてエンジン搭載車が大半を占めると予想されています。
引用: 世界700万台?電気自動車(EV)の3年後はどうなるか?自動車界の近未来を予想する
先進国はもちろん、開発途上国でも排ガス規制の厳格化は維持、もしくはさらに厳しくなると考えられます。
一方で、パラジウム触媒代替技術と排ガス触媒の高効率化はどんどん進んで行きます。
以上のことを考えますと、個人的な予想としましては、ざっくりと以下のようになると推測しています。
排ガス触媒用パラジウムの需要予想
- 超短期的には、コロナの影響を受けてパラジウムの需要は減少する。
- 短期的には、エンジン搭載車の販売は継続される為需要は回復する。
- 中長期的には、パラジウムが少なくとも済むよう技術が発展し、徐々に減少する。
- 超長期的には、電気自動車にとってかわり必要なくなる。
もちろん、パラジウムが自動車業界以外にものすごく有用なアプリケーションが見つかれば話は大きく変わってくると考えられます。
パラジウムの供給
南アフリカとロシアの供給量が85%を占めています。
どちらのロケーションでも、パラジウムを単独で得るための採掘はしていません。
ニッケルや銅、あるいはプラチナを得るための鉱石の中の副産物として得ています。
引用: WPIC_Platinum_Essentials_March_2020_JA.pdf
鉱山で生産される量は微減しており、リサイクル量が徐々に増えています。
パラジウムの需要量が増えているのに発掘量が増えていない理由は、上記の通りパラジウムを単独で得ることが難しいからです。
つまり、採掘量を増やしてしまうと、他の金属もたくさん取れてしまうので、積極的に供給量を増やしていないと考えられます。
採掘で増やしていない部分は、リサイクルから供給を賄っています。
繰り返しになりますが、排ガス規制もどんどん厳しくなってきていますので、一台あたりに使用されるパラジウム量は増えています。
車が販売されて廃車になるまで、大体10数年が大半とされていますので、使用した量とリサイクル時に回収される量にはそれだけの時差があります。
引用: WPIC_Platinum_Essentials_March_2020_JA.pdf
今後、エンジン搭載車の需要が減少していきますと、リサイクルのみで供給量を賄える日が来るかもしれません。
ただ、副産物として得られ続けますので、数十年後には最も別の用途で使用されているかもしれません。
まとめ
本記事では、プラチナとパラジウムのETFについて調べました。
需要とか供給とか色々調べましたが、結論としては個人的には買いの判断には至りませんでした。
以上です。