空飛ぶタクシーなんて、映画だけの世界だと思っていましたが、着々と現実のものとなってきています。
2018年に、ウーバーが空飛ぶ車をテーマにした年次会議を主催しました。
ロサンゼルスを始め、アメリカの都市部では渋滞が非常に酷く、空のライドシェアによる解決を試みています。
そのウーバーが事業売却した先が、当時の事業パートナーの一つだった「ジョビーアビエイション」です。
電動の垂直離着陸機、いわゆるeVTOL (Vertical Take-Off and Landing aircraft)を開発しており、心躍る技術開発を日々続けており、あと数年もしない内に現実の物になるかもしれません。
2025年の万博では実際に使用されると信じています。
こんな方におすすめ
- ジョビー・アビエーション(JOBY)株について知りたい方
- 空飛ぶタクシーについて知りたい方
ジョービーアビエーション (Joby Aviation)について
以下内容は、ジョビーアビエーション(Joby aviation)ホームページの次の3点の資料を基にしています。
- Joby Aviation Reports Third Quarter 2021 Financial Results
- Joby Dec'21 Corporate Deck
- Shareholder Letter Q3 2021
会社概要1)
- 2009年設立
- 約1000名の従業員
- カリフォルニアを拠点
- 電動垂直離着陸機 (eVTOL)を開発中
- 2024年にタクシーサービス開始を目標
事業内容2)
「空飛ぶタクシー」の提供がジョビィアビエーションの事業内容となります。
- シティエリアでの渋滞による時間のロス
- 更に多くの人が都市部に流入する
- 自動車など輸送機による二酸化炭素の排出
といったことを社会的課題として捉えており、これまで2次元での移動(つまり道路を走る)ことから3次元での移動(つまり空を飛んで移動)へシフトしていくと考えています。
ロサンゼルスエリアのみでも、年間500万ドル規模のビジネスの可能性があると予想しています。
ジョービーアビエーションの機体コンセプトは以下の通りです。
- 垂直離着陸
- 150マイル (約240キロメートル)の移動範囲
- パイロット1人、乗客最大4人のキャパシティ
- 最大時速200マイル (時速320km)
- ゼロオペレーティングエミッション(二酸化炭素の排出なし)
進捗状況について2)
一番気になるのは安全性と法規制です。
民間航空機を飛ばすには、FAA(連邦航空局)の認証が必要ですが、それらの進捗はどうなっているでしょうか?
FAAのマイルストーンは大きく3つあり、現在はその第一ステップであるG1が終了したとのことです。
現状は、第二ステップのG2で対空基準を満たすために試験飛行を繰り返しており、2023年に型式証明(Type Certification)の取得を目指しているところです。
G-1 Certification basis とは?
- 14 C.F.R.Part23に含まれるFAAの認証基準に基づいています。
- パート23を基礎として、G-1認証基準はFAA型式認証に必要な特定の耐空性基準と環境基準を定めています。
ちなみに、競合のアーチャーアビエーション(Archer Aviation)【ACHR】もFAA G1 certificationは認証されているとのことです。4)
空飛ぶタクシーサービス2)
利用イメージは以下の通りです。
- まずはアプリで行先を選ぶ。UBERのアプリと似たイメージ。
- ライドシェアで空港まで行く。
- 時速200マイル(時速320km)でスカイポート間を移動。
- スカイポートに到着したら、ライドシェアで目的地まで。
*スカイポート: 空飛ぶタクシーが離着陸できる場所のこと。屋上などを想定。
つまり、家から仕事場まで空飛ぶタクシーでひとっ飛び!というよりは、できるだけ車の移動量を減らし手軽に利用できる飛行機とかヘリコプターのイメージですかね。
21年Q3の業績概要3)
- 出資者から1.4B$(14億ドル)資金調達
- 純損失は78.9M$ (7890万ドル) (20年度よりも50.8M$損失増)
- EBITDA損失は55.9M$(5590万ドル) (20年度よりも23.6M$損失増)
損失が大きくなった理由は、研究開発費や試験飛行など認証取得にかかる費用がかなり大きく占めているようです。
サービスの運用が始まっていませんので、あと3~4年は少なくとも赤字続きでしょう。
主なパートナーシップ
サービス面: Uber、アメリカ空軍、NASA
製造面: トヨタ、東レ、Garmin
インフラ面: RELATED, Signature Aviation, マッコーリー銀行、REEFテクノロジー
トヨタが約400億円ジョビーアビエーションに出資したのは記憶に新しいですね。
彼らの生産方式は、きっと航空機業界でも通用するはずです。
NASAとアメリカ空軍ともパートナーを組んでおり、2022年は量産前の機体による飛行テストをひたすら繰り返しデータ蓄積を行います。
もちろん飛行サービスだけではありませんので、不動産やパーキング関連の会社ともパートナーを組み、2024年のサービス開始に向けて着々と準備中です。
現在の株価
株価は絶賛下落中。ナイフ落ちまくっています。
三菱航空機の時もそうでしたが、民間での航空機(関連)を製造するにあたって、型式証明を取るのが何よりも大事です。
加えて、民間航空機と比較してもスタートアップの競合は非常に多く、日進月歩で技術を競い合っています。
またeVTOLは、その将来性も不明確(個人的には将来性を信じていますが)ですので、事業としても成功させなければなりません。
結論として、リスクとしてはめちゃめちゃ高い銘柄と言わざるを得ません。
しかしながら、技術者の端くれとしてはこういう将来技術に希望を抱かざるを得ません。
以上です。